2.19
けんり春闘 経団連抗議・要請行動
賃金抑制とけんり破壊の先導を許さない
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内部留保積み
増す大企業!
2月19日、けんり春闘は2月行動として日本経団連に対する抗議要請行動を行った。コロナ禍の下でも経団連傘下大企業が巨額の内部留保を積み増す一方で、特に非正規労働者への犠牲が露わになる現状に無策であるばかりか、非正規化やいわゆる雇用によらない働き方の一層の推進など、賃金抑制と権利破壊をむしろ強化しようとする経団連への強い怒りの行動だ。午後12時過ぎの開始に向け日本経団連会館前には次々と各労組や争議団の旗が立ち並び、大企業本社が密集する大手町を行き交う人々の注目を集めた。コロナに配慮しつつ、結集した労働者は最終的に約100人(主催者発表)。
エッセンシャル
ワーカーの現状
午後12時15分、コロナ禍だからこそ雇用も賃金も,との司会の呼びかけで集会が始まった。まずけんり春闘共同代表の一人である間島勝重全港湾中央執行委員長が今春闘の課題を挙げつつ、経団連の賃上げ否定に断固立ち向かう闘いの展開を訴えた。そこでは特に、社会を現に支えているいわゆるエッセンシャルワーカーの雇用を守ること、それと緊密に結びつくものとして中小非正規の処遇改善、が中心的課題だと強調され、大手の労働者こそ立ち上がれ、と檄が飛ばされた。そしてけんり春闘として、普通に暮らせる社会への変革を進める闘いを展開しようと力強く呼びかけた。
次に東京清掃労組の江森副執行委員長が職場の現状を報告した上で闘いの決意を述べた。清掃の現場は言うまでもなくエッセンシャルワーク。在宅療養者が急増するに応じて感染者のごみも急増したが、厚労省は感染性廃棄物とはしないと通達、清掃労働者が収集にあたらざるを得ず、現場ではリスク対策、手当増を要求している、と職場の闘いを報告した。
まさに報道されることの少ないエッセンシャルワーカーの厳しい現実だ。江森さんは、コロナによる解雇が8万人を超えていると報じられていることへの早急な雇用対策の必要や、高株価が格差拡大をさらに進めていることを指摘し、先の職場の闘いを基礎に大企業からの所得再配分も強く要求する、と決意を語った。
女性労働者の雇
用・人権を守れ
全統一労組の坂本書記次長は、ホテルで働くフィリピンからの移住労働者による闘いを紹介した。休業給付金支払いを拒否されたことに対し多数の仲間と共に労組を結成して闘い支払いを約束させたが、1月に全員解雇を通告されたという。その際には、理解の難しい日本語の文書に署名を求められるなど極めて不誠実な対応も行われている。現在解雇撤回を求めて闘争中だが、坂本さんは、移住労働者の人権をないがしろにする先頭に立ってきた経団連にも強い怒りを表明した。
分会長を務める当該の労働者も発言に立ち、30年日本で働き初めて労組を経験し、権利を初めて知った、よい職場を作るため勝利したい、とおおらかに決意を述べた。
派遣法を作り、解雇・雇い止めあたりまえ社会をつくった張本人、と経団連を糾弾した全造船関東地協の風呂橋さんに続いて、郵政労働者ユニオンの日巻委員長は、労契法20条裁判で画期的勝利判決を得たが、会社は、この判決で求められた手当支払いを他の労働者には適用しない、と公言する法無視の極めて不当な姿勢を取っている、と厳しく批判した。そしてエッセンシャルワークにどう応えるかを突き出しつつ非正規差別を許さない闘いを徹底しようと訴えた。
女性労働者の
蔑視許さない
次いでなんぶ一般の中島由美子委員長が、参加した女性労働者と共に前に並び「わきまえない女」としても発言する、と怒りを込めて経団連を糾弾しつつ、「わきまえない女」として社会も労働組合も変えると、強い決意を明らかにした。直前に起きた森喜朗前JOC会長の女性蔑視発言を受けたものだが、中島さんは、その発言を中西経団連会長が「日本社会の本音が表れた」などと半ば容認・擁護したこと、に強い怒りを表明しつつ、同じく異論なくサクサク進む会議をヨシとする日本経団連と大企業のトップダウン体質と女性差別体質に鋭い批判を浴びせた(18人いる経団連副会長に女性が1人初めて当てられた、との報道が2月25日にあった)。さらに中西経団連会長が「日本の賃金がOECD諸国でも下位に下がっている」などとまるで評論家のように語ったことに、下げたのはお前たちだ、ふざけたことを言うな、と徹底した反撃の必要を訴えた。
そしてネットワークユニオンの寺尾さんが音頭を取り、日立グループがTV等で流しているコマーシャルソングの替え歌。配られた歌詞カードを見ながら「わきまえないぞ、あきらめないぞ、おっさんずクラブ経団連!」と日本経団連の先の体質を全員で野次り倒した上で、労働者の新しい連帯で日本の既成支配体制に挑む決意を宣言した。
幕引きに走る
連合を批判!
締めくくりの発言はユナイテッド航空争議団。経団連による労組潰しに屈しないと決意を表明し、けんり春闘に団結し雇用も賃上げも勝ち取る闘いを共に広げようと呼びかけた。結集した労働者は最後に、非正規差別、女性差別を許さず、全員が普通に暮らせる社会を保証させる闘いへの決意を込め、シュプレヒコール、団結ガンバローを唱和しこの日の行動を終えた。
おそらく連合はベア確保も満足に獲得しないまま3月早々に春闘の幕を引くと思われる。自動車総連に至っては、「格差是正を阻害する」というまったく理解不能な理由の下に、妥結額の公表さえしないと報じられている。まさに、今回のJOCであらためて露わになった日本の差別的秩序への総屈服、あるいはその温存への協力だ。
ここには、広範な女性たちや若者たちに表れた森発言への怒りの広がりに応えるものは、したがってまた未来を照らすものは何もない。けんり春闘に求められることはこのような連合に抗する闘いだ。自ら闘うことを起点に、これまでとは違う社会を求めるエネルギーと結びつく道を探り出すことが求められている。この日女性たちが挙げた叫びは、まさにそこに挑戦する決意を示した。 (神谷)
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